茶審査のプロは抹茶をどう見る?5つの品質チェック

茶審査のプロは抹茶をどう見る?5つの品質チェック

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最終更新:2026年9月2日

茶の品質審査は、見た目、香り、浸出液の色、味を条件をそろえて確認します。この記事では、正式項目の外観・香気・水色・滋味と、ICHIZENが飲用時に確かめる余韻を分けて解説します。

正式な茶審査は「外観」と「内質」を分けて見る

京都府茶業研究所の品質評価資料では、茶の官能審査は大きく外観と内質に分けられます。外観は形状と色沢、内質は香気・水色・滋味が基本です。碾茶の審査では、抽出後の茶殻の色を見る「から色」も審査項目になります。京都府の茶品評会報告でも、外観と、香り・浸出液の色・味からなる内質を審査したことが説明されています。

碾茶市場の入札では、番号札、拝見盆の茶、審査茶碗の浸出液、茶殻を一組に並べ、品質を見て価格を判断します。「から色」が重視されるのは、乾いた葉の色より、粉にしたときの色へ直結しやすいためです。

ここで注意したいのは、品評会で審査する碾茶と、消費者が手にする粉末の抹茶は同じ状態ではないことです。正式審査の手順や採点をそのまま家庭へ持ち込むのではなく、「条件をそろえ、項目を分けて観察する」という考え方を借りるのが現実的です。

品質を見る視点 正式審査での位置づけ 家庭で確認できること
外観 形状・色沢を確認 粉の色調、均一さ、固まり方を同じ光で比べる
香気 内質の項目 乾いた粉と湯を加えた後の香りを分けて記録する
水色 内質の項目 同じ器と照明で、点てた液面の明るさや濁り方を見る
滋味 内質の項目 うま味、甘味、苦味、渋味の強さと釣り合いを見る
余韻 本記事では公式項目に含めない 飲み込んだ後に残る香り、ざらつき、苦渋味の長さを記録する

家庭で使える5つの品質チェック

1. 外観:鮮やかさだけで決めない

碾茶の外観審査では、形だけでなく、葉がふわっとしているか硬いかという手触りと色を見ます。揚げた直後の茶殻はどれも緑に見えやすい一方、しばらく置くと色の差が表れます。家庭で粉末を見るときは同じ照明で並べ、色むらや湿気による固まりも一緒に確認してください。

2. 香気:乾いた状態と点てた後を分ける

容器を開けた直後の香りと、湯を加えた後に立つ香りは分けて確認します。青葉のような香り、甘い香り、焙煎を思わせる香りなど、感じたことを具体的な言葉で残すと比較しやすくなります。香りが弱い理由は原料だけでなく、開封後の時間や保存状態にもあります。

3. 水色:同じ白い器と光で比べる

茶の審査でいう水色は浸出液の見え方です。抹茶は粉末を湯へ分散させるため、煎茶の透明な浸出液とは性質が異なります。それでも、同じ白い器、同じ湯量、同じ照明を使えば、明るさ、濁り、泡の下の色を比較できます。

4. 滋味:苦味の有無ではなく全体の釣り合い

抹茶にはうま味、甘味、苦味、渋味が重なります。「苦くないほど上質」と一つの軸だけで決めるのではなく、口に含んだときの厚みと、それぞれの味が突出していないかを見ます。用途によっても望ましいバランスは変わります。薄茶とラテの選び分けは、セレモニアルと料理用抹茶の違いも参考になります。

5. 余韻:ICHIZEN独自の飲用チェック

余韻は、この記事では品評会の正式な独立項目として扱いません。ICHIZENでは、実際に飲んだ後に香りやうま味がどう残るか、苦渋味やざらつきが不自然に長く残らないかを、飲用時の確認点として見ています。京都・井手町の脇本常香園が外観・香り・水色・滋味を確認し、ICHIZENはその知見を日常の一杯へつなげています。

比較するときは条件を固定する

茶を見分ける鍛錬は、中世の闘茶から茶香服へ受け継がれ、現在の茶審査の競技にもつながっています。家庭では競技を再現するのではなく、同じ条件で比べ、感覚を言葉にする練習として取り入れるとよいでしょう。

家庭で2種類以上を比べるなら、抹茶量、湯量、湯温、器、点てる時間をそろえます。商品名を伏せて番号だけで飲むと、価格やパッケージの印象に引っ張られにくくなります。各項目を5段階で採点するより、最初は「感じた香り」「味の強弱」「飲んだ後の印象」を短い言葉で記録するだけでも十分です。

  1. 開封時刻をそろえ、同量の粉を白い皿へ出す
  2. 乾いた粉の外観と香りを確認する
  3. 同じ水、湯温、湯量、器で点てる
  4. 水色、滋味、余韻を順番に記録する
  5. 用途と好みに合うかを最後に判断する

購入前に表示や鮮度も含めて確認したい方は、高品質な抹茶の選び方をご覧ください。ICHIZENの抹茶については、宇治抹茶の商品ページで原料、仕上げ、用途をご案内しています。

名称より、確認できる情報と一杯のバランスを見る

「ceremonial grade」という言葉は、品評会の共通採点結果そのものではありません。名称だけで判断せず、原材料、産地や仕上げの説明、鮮度管理、用途、そして実際に点てたときの香りと味を分けて見ることが大切です。

出典:京都府茶業研究所「製茶、成分・品質評価・機能性・貯蔵、茶利用技術」、京都府茶業研究所「R7(2025)年度 茶業研究所の活動報告(月報)」。正式審査の説明にはこれらの公開資料を使用し、余韻はICHIZEN独自の飲用チェックとして区別しています。

よくある質問

茶の正式な審査項目は5つですか?

一般的な茶審査は外観と内質に分かれ、内質では香気・水色・滋味を確認します。碾茶ではから色も扱われます。本記事の5番目である余韻は、公式の独立項目ではなくICHIZEN独自の飲用チェックです。

抹茶は色だけで品質を判断できますか?

色は手がかりの一つですが、照明、保存、撮影条件でも印象が変わります。香り、味のバランス、口あたり、表示や鮮度管理と合わせて判断してください。

ceremonial gradeは公的な等級ですか?

品評会の共通採点結果や単一の公的等級と同じものではありません。販売者ごとに意味が異なり得るため、原料、産地、用途、味の説明など確認可能な情報を見ることが大切です。

家庭で抹茶を公平に比べるコツは?

抹茶量、湯量、湯温、器、点てる時間、照明をそろえ、商品名を伏せて比べます。外観、香り、水色、滋味、余韻を順番に短い言葉で記録すると違いを捉えやすくなります。

参考文献

  • 桑原秀樹『増補改訂 宇治抹茶問屋4代目が教える お抹茶のすべて』誠文堂新光社、2019年、p.099、p.101–102、p.105–106、p.119–120

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