茶筅の選び方|穂数・用途・抹茶セットの中身を比較
監修:株式会社 脇本常香園(宇治茶製造卸・京都)
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初めて茶筅を買うなら、薄茶向けの「数穂」または「80本立」を基準に選ぶと使いやすいでしょう。細くしなやかな穂が多く、家庭で一般的なさらりとした抹茶を点てやすいからです。抹茶セットは、茶筅、茶筅を動かせる広さの茶碗、抹茶をこすふるいの3点があれば始められます。茶杓や茶筅休めは便利ですが、最初から豪華なセットをそろえる必要はありません。
用途別:初心者に合う茶筅の早見表
茶筅は、穂の本数が多いほど常に高品質という道具ではありません。飲み方と動かし方に合うことが大切です。商品名の本数と実際の数え方は製造者によって差があるため、数字だけでなく「薄茶用」「濃茶用」という用途表示も確認してください。
| 主な用途 | 選び方の目安 | 向いている理由 | 確認点 |
|---|---|---|---|
| 家庭の薄茶 | 数穂・80本立など | しなやかな穂を細かく動かしやすい | 「薄茶用」の表示を優先する |
| 泡を細かく仕上げたい | 80本立・100本立など穂が比較的多いもの | 表面を細かく撹拌しやすい | 本数が多いほど繊細なので、強く押し付けない |
| 濃茶 | 穂が少なめで一本ずつが丈夫な濃茶用 | 濃い抹茶を泡立てずに練り合わせやすい | 茶道を学んでいる場合は先生・流派に確認する |
| 抹茶ラテ | 標準的な薄茶用 | 先に少量の湯で抹茶をなめらかにできる | 竹製茶筅でミルクを直接泡立てず、別に合わせる |
| 外出・携帯 | 短めの野点用、またはシェイカー | 荷物を小さくしやすい | 竹の穂先をつぶさないケースが必要 |
茶筅(chasen)とは?
茶筅(ちゃせん)は、抹茶と湯を茶碗の中で混ぜるための道具です。金属の泡立て器のように複数の部品を組み合わせるのではなく、伝統的な竹製茶筅は一本の竹を細かく割き、穂先を薄く削り、糸で編んで形を整えます。
奈良県生駒市の高山地区では約500年にわたり茶筅作りが受け継がれてきました。高山茶筌は国指定の伝統的工芸品で、用途や流派に応じて穂の数、長さ、竹の色、穂先の形が異なります。つまり、見た目が似ていても、すべての茶筅が同じではありません。
穂数と形はどう選ぶ?
薄茶には数穂・80本立が一般的
奈良県は、茶筅を濃茶用と薄茶用に大別し、一般には薄茶用の数穂と80本立が多く作られていると説明しています。生駒市の資料では、用途や流派に合わせて60〜120本ほどに竹を裂くとされています。
穂が比較的多い茶筅は、手首を使って細かく動かしやすく、薄茶の表面を均一に整えたいときに向きます。ただし、100本立だから80本立より必ず点てやすい、味がよい、という意味ではありません。穂のしなやかさ、茶碗との相性、使う人の動かし方も仕上がりに影響します。
濃茶には丈夫な穂を選ぶ
濃茶は、薄茶のようにすばやく泡立てるのではなく、少ない湯で濃い抹茶をゆっくり練り合わせます。そのため、濃茶用には穂が少なめで一本ずつが比較的丈夫な茶筅が使われます。
茶道の稽古で使う場合は、流派によって竹の種類や糸の色、形に決まりがあることがあります。オンラインの本数比較だけで決めず、先生に確認するのが確実です。家庭で自由に薄茶を楽しむ場合は、流派別の細かな違いを最初からそろえる必要はありません。
白竹・黒竹・煤竹の違い
茶筅には白竹、黒竹、長年の煙で色づいた煤竹などがあります。竹の色は流派や意匠とも関係しますが、色だけで耐久性や点てやすさを判断することはできません。初心者は、竹の色よりも用途表示、産地・製造者、穂先の仕上げ、持ちやすさを優先すると選びやすくなります。
日本製と海外製は何を見て比較する?
産地は、作り手や製法を知る手がかりになります。一方で、産地名だけを理由に一律の優劣を決めるのも適切ではありません。次の情報が明確な商品を選びましょう。
- 薄茶用、濃茶用、野点用などの用途
- 竹または樹脂などの素材
- 製造国、産地、製造者
- 穂先に目立つ折れ、割れ、ゆがみがないこと
- 洗い方、乾かし方、保管方法の案内
手仕事の竹製品には、色や節、穂の開き方に個体差があります。わずかな違いは不良とは限りません。ただし、未使用時点で穂先が大きく欠けている、根元まで深い亀裂がある、商品説明と素材が違う場合は販売店へ確認してください。
Matcha whisk setに必要なもの
英語圏で「matcha whisk set」として販売される商品は、2点だけのものから収納箱付きの多点セットまで内容がさまざまです。点数の多さではなく、実際に使う道具がそろっているかで比較します。
| 道具 | 優先度 | 選ぶポイント |
|---|---|---|
| 茶筅 | 必須 | 最初は薄茶用の数穂・80本立を基準にする |
| 茶碗 | 必須 | 茶筅を左右に動かせる口径と、穂先が引っかかりにくい内側 |
| 細かいふるい | 推奨 | 抹茶のダマを減らし、短時間でなめらかにする |
| 茶杓・計量スプーン | どちらか一つ | 毎回ほぼ同じ量を量れるもの |
| 茶筅休め | あると便利 | 洗った茶筅の穂を広げ、形を保ちながら乾かしやすい |
| 密閉収納ケース | 保管には不向き | 輸送には使えても、湿った茶筅を入れない |
すでに広めのボウルや細かいふるいを持っているなら、茶筅だけを購入しても始められます。反対にギフトとして選ぶなら、受け取った人がすぐ使えるよう、抹茶、分量の案内、茶碗、茶筅、ふるいがそろった抹茶スターターキットがわかりやすいでしょう。
茶筅休めは必要?
茶筅休め(くせ直し、chasen holder)は必須ではありませんが、竹製茶筅の広がった形を保ち、風を通して乾かすのに役立ちます。一保堂茶舗も、使用後は水だけでよく洗い、茶筅休めに置いて十分に乾かす方法を案内しています。
茶筅休めを使わない場合も、穂先が押しつぶされず、全体が十分に乾く場所を選んでください。購入時の透明ケースは輸送中の保護を目的としたものが多いため、洗った直後の保管には向きません。湿気が残る状態で密閉しないことが重要です。
長く使うための手入れと交換サイン
- 使う前:穂先をぬるま湯に短時間つけ、竹をしなやかにします。
- 点てるとき:茶碗の底へ強く押し付けず、手首で細かく動かします。
- 使った後:水またはぬるま湯で抹茶を流します。竹に香りが残る洗剤や食器洗浄機は避けます。
- 乾かすとき:穂の間に抹茶が残っていないか確認し、風通しのよい場所で完全に乾かします。
竹製茶筅に一律の使用回数はありません。使用頻度、力のかけ方、乾燥状態で寿命が変わるためです。穂先の折れが増えた、以前よりダマが残りやすい、同じ動かし方でも点てにくいと感じたら交換を検討してください。折れた穂が茶碗に入った場合は取り除きます。詳しい手順は茶筅の洗い方と保管方法をご覧ください。
購入前の5項目チェックリスト
- 主に薄茶、濃茶、ラテのどれを作るか決めた
- 用途表示と穂数を両方確認した
- 茶筅を動かせる茶碗を用意した
- 使った後に風通しよく乾かせる場所がある
- セット内の重複品や使わない付属品を除いて比較した
初心者にとって使いやすいのは、最も高価な茶筅ではなく、日常の一杯に合い、無理なく洗って乾かせる茶筅です。道具が決まったら、抹茶の点て方を参考に、まずはいつもの分量で動かし方を覚えていきましょう。
よくある質問
初心者には何本立の茶筅がおすすめですか?
家庭で薄茶を点てるなら、数穂または80本立を基準にすると選びやすいでしょう。奈良県も、この2種類が一般的な薄茶用として多く作られていると案内しています。本数表記には製造者による差があるため、「薄茶用」の表示も確認してください。
茶筅休めがないと茶筅を使えませんか?
茶筅休めがなくても使えます。ただし、使用後は水でよく洗い、穂先をつぶさず、風通しのよい場所で完全に乾かしてください。茶筅休めは、穂の広がりを保ちながら乾かしやすくする補助道具です。
電動フォーマーは茶筅の代わりになりますか?
ラテや短時間の撹拌には使えますが、薄茶のきめ細かな表面や、茶碗の中で抹茶を点てる感覚は異なります。手軽さを優先するなら電動フォーマー、薄茶の仕上がりと所作を楽しむなら茶筅が向いています。
茶筅はどのくらいで交換しますか?
決まった回数はありません。穂先の折れが増えた、穂が大きく開いた、以前より点てにくくなったときが目安です。使用後に洗って十分に乾かし、茶碗の底へ強く押し付けないことで傷みを抑えられます。
参考資料
- 奈良県「高山茶筌」(2026年2月27日更新)
- 生駒市「生駒市の伝統産業」
- 政府広報オンライン「The Way of Whisks」
- Ippodo Tea「Whisk Stand (Chasen-tate)」
- Ippodo Tea「How long can I use my chasen?」
Column
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